消費税率アップで混乱しないために

消費税率が5%から8%へ。単にこれは納税額が増えるという話ではなく、システムが混乱しそうな予感があります。 総額表示義務が一時的に棚上げにされるからです。再増税のことも考慮に入れると、税抜き表示が恒久的に定着する可能性も高いでしょう。 アタマを「税込み」から「税抜き」に切り替えましょう。原価を意識するチャンスです。


アベノミクスはだいじょうぶ?

さあ!
増税です。
これはなんのチャンスでしょう?
東京オリンピックも決まったことだし、
これからしばらくは強気一辺倒でOK。
日本の景気はだいじょうぶです。
世界でいちばんだいじょうぶと言ってもいい。
それにひきかえ中国や韓国はボロボロになります。
魂が澱んでいるんだからどうしようもない。
当分のあいだ浮上できないでしょう。
(ひとつあるとしたら、
北朝鮮崩壊特需くらいですね。)

これからますます追い風が吹いてくるっていうときに、
安部総理としては、
自分の手で消費増税はやりたくなかったはず。
しかし、
消費税を上げてもなお景気を腰折れさせなかったとすれば、
そしてもし東京オリンピックまで総理を続けることができたとすれば、
名宰相として歴史に刻まれることになります。
いやもうすでに、
アベノミクス

世界に認知された日本発の流行語大賞。
がんばっていただきましょう ̄O ̄)ノ
ま、とにかく、
政治がどっちを向いておろうが、
そういうことにいちいち惑わされることなく言い訳もせず、
与えられた制約条件の中で、
明るく元気にチマチマと、
楽しく姑息に儲け続けるのが中小企業の定めってもん。
とりあえず、
事務処理の混乱はなんとかしなければね。
混乱するのはどこも同じ。
ここをスマートに切り抜けることができれば、
競合他社に差をつけてリードすることができます。
さあ、
なにから手をつけましょうかね‥‥
まずは
お店の値札(=プライスタグ)をどうするか?
ですかね。
店舗経営者のみなさんはこれまで、
売上実績を管理していく上で、
アタマの中が
総額表示モード

なっていた可能性が高いのですが、
これをやっぱり
どっちも表示モード

切り替えていく必要があります。
あなたが社員さんに
>今日の売上、
>いくらだった?


尋ねたとき、
社員さんが「税込み」で答えるか、
それとも「税抜き」で答えるか。
それがあなたの会社の現在の税処理モードです。

内税計算にチャレンジだ!

>本日の売上は、
>税抜き240万、
>税込み252万でした。

っていうふうに、
特に指示されなくても、
つねに税込みと税抜きが意識されているならすばらしいことです。
先に税抜きで答えるってことは、
メーカー系でしょうかね。
こないだ、
独立して3年めぐらいの若手デザイナーに、
パンフレット制作の見積を依頼したら、
460,000円
という見積が返ってきたんですが、
それが税込みなのか税別なのかどこにも書いてありませんでした。
微妙です。
税率が上がれば上がるほど、
こんなのはシャレになりません。
そんなわけで今日は、
消費税率が変動する時代を前提に、
すっきり数値管理ができるようになるためのお勉強をやっときましょう。
知っておいて損はない、
めちゃめちゃ基本的な消費税の計算問題から──。
Q.
消費税率を8%として、
税込100円
の商品の内税はいくらでしょう?

いきなり電卓?
いりませんよ。
そんなむずかしい話はしませんので。

正解は
>8円ではない
ってことです。
>きっと8円よりも少ない額
と答えていただければもう最高。
めちゃめちゃ正解。
それ以上は求めてませんので(ё_ё)

ひまな人は、
元の商品額をpとして
方程式
 y=(p-y)×8/100
を解いていただくと
 y=p×8/108
となることがわかります。
108ぶんの8
っていうのが要するに大事なんです。
5%なら
105ぶんの5
10%なら
110ぶんの10
ですよね。
さっきの問題なら、
100円の108ぶんの8ってことで、
7.4
みたいに、
いかにも割り切れない、
気持ちの悪い解になります。
現実社会ではこれが切り捨てか四捨五入で
7円
ということになり、
もとの本体価格は93円です。
──ここまでがウォーミングアップ。
5%の消費税が8%に上がっても、
この理屈はちっとも変わらないんだから、
別にいいじゃないの‥‥
では済まないところが現実社会のややこしさ。

総額表示は知っとこう

総額表示義務
っていう言葉はごぞんじですか?
モノの値段は消費税を含めた額で、
表示しないさいヨ、
と。
それが義務づけられているんです!Σ(`Θ´)=3
総額
とは、
消費者(お客さん)が
実際に支払う額のことです。
100円
と値札に書いてあれば、
それは消費税を含んだ総額でなければなりませんよ。
そうでないと、
消費者がけっきょくいくら払ったらいいかわからないでしょ。
──っていうことで、
平成16年4月から総額表示が義務づけられたんです。
ところが、
来年の4月から税率が変わることになったので、
今年の10月、つまり今月から、
総額で表示しなくてもいいよ
ってなった。
総額表示義務そのものがなくなったわけではありませんが、
しばらくのあいだ、
5%だったり8%だったり、
どっちかわからなかったりする期間が発生します。
なので一定の期間、
税抜きの金額で表示してもいいことになりました。
税率によって総額が変わるんですから、
カタログなどの印刷物はたいへんです。
レジを使っているお店なら、
レシートの表記、
自前でネットショップやっている人は、
注文確認メールなど、
どうしたらいいか迷っている方も多いようです。
注文は3月に受けるけど、
実際の納品(販売)は4月以降

っていうパターンが特にややこしい。
いままであなたのお店が
1000円
と表示して売っていたものは、
952円
のものでした。
ところが2014年4月以降、
同じものを売るとすれば、
それに
76円
の消費税(外税)が加わり、
1028円
で販売しないといけないことになるわけです。
じゃあせっかく作った
1000円の値札とか
ポップとかは‥‥
どーすんのよ!?
ってなわけで
消費税の円滑かつ適正な転嫁のための
消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法

(平成25年法律第41号)
により、
半年まえの今月からは、
総額表示義務

こだわらず、
本体部分と税金部分を
分けて書いていいよってことになったわけなんです。
ま、そうなると、
税抜き表示が主流になるでしょう。
総額表示しなくていい特別措置は、
とりあえず平成29年3月31日まで
ってことになってますが、
消費税がまた上がるとこの期間もまた延びます。
なのでこの際、
全従業員のアタマを恒久的に税抜きベースに切り替えておきましょう。
>今日の売上は30万円でした!
と言えば、
特に断りのないかぎりそれは原則として税抜きなんだ
ということに決めるとか。
ご自宅の食卓でもですね
>このサンマ、いくらだったの?
ってきいて
>390円よ。
ってなれば、
実際に払った金額は410円なんだなというふうに決めとく。
(≡^∇^≡)

やっぱりややこしいぞ消費税

で、
これからもっとややこしい話をします。
知ってても得にならないので雑学程度に聞いていただければいいんですが‥‥
あなたのお店では来月から総額表示をやめ、
本体が150円なら、
店頭の値札もポップも150円と表示することにしました。
本体150円(+消費税8円)
です。
そうするとお客さんは、
レジで総額
158円
を払うんだなとわかります。
Q.
じゃあこの商品を
10個まとめて買ったとしたらどうでしょう?

1580円
ですか?
いまの総額表示の感覚ではそうですね。
でも本体は150円なので
10個で1500円
ですよ。
それに5%の消費税がかかるなら
75円
なので合計は
1575円
になりませんか。
どーすんですかこの5円の差は!
あなたにとってはどうでもいい5円かもしれませんが、
ポスレジのシステムや、
ネットショップのシステムを開発しているわたしにとっては、
ぜんぜんどうでもよくない5円(-“”-;)なんです。
財務省主計局っていうところに問い合わせたところ、
どうやらお上は、
合計が1580円になるレジのほうが望ましい
と考えているらしいんですが、
そんなのやっぱり庶民感覚からしたら変じゃない?
と思うしだいでして、
ゆえに当社のシステムでは1575円になります。)

値引きもややこしい。
あなたのお店が、
開店5周年記念とかなんとかで、
500円のクーポン券
を配ったとします。
さっきの例と同じく
本体150円(+消費税8円)
のものを10個まとめて買った人が、
このクーポン券を使ったとしましょう。
しかもあなたの店では
10個まとめて買ったら1個は無料
というサービスも始めたとします。
Q.
このお客さんの支払額はいくらで、
あなたのお店の純売上はいくらでしょう?

(ここで純売上っていうのは、
値引きも消費税も引いた残りの売上とします。)
150円のものを10個なので
1500円
でも1個は無料(1個分を値引きすると考える)なので
1500円
▲150円

1350円
これに消費税67円(ここでは端数切捨)がかかって
1417円
ここからクーポン券の分が
▲500円

お支払いとしては
917円
となるでしょう。
1回めのマイナスは
消費税計算前の本体から引いているのに
最後のマイナスは
消費税計算後の総額から引いていることに注意してください。
つまり、
1個無料の値引きは税抜き取引で
クーポン券の値引きは税込み取引ってことなんです。
それがわからなければ
けっきょく売上がいくらかわからなくなりますね?
売り上げた金額
1500円
に対して
▲626円
の値引き額があります。
>そんな中途はんぱな金額を引いた覚えはないよ。
>1個無料サービスが150円で
>クーポン券が500円なので
>足したら650円になるじゃないの?

‥‥て、
そうですか?
もしそうなら
500円クーポンは商品代合計から引かないといけませんよ。
つまり
1350円
▲500円
=850円
+税42円
=942円
となるはずです。
さっきは合計917円でしたから、
きっとこれだとクレームの嵐になるでしょうね。
クーポン券とか金券は、
消費者感覚では「お札」と同じです。
お金そのものなんです。
だから先に消費税を計算して税込み合計を出してそこから引く。
そんなわけなので、
あなたのお店の純売上は
874円
となります。
>こんな細かいことまでいちいち考えて商売やってられっか!
‥‥っていうあなたのために、
消費税処理方式を「外税タイプ」「内税タイプ」
ワンタッチで切り替えられる
(もちろん税率変動にもオートマチックに対応する)
とってもかしこいポスレジ
を、
わたしが開発してあげました。
ネットショップの精算システムも、
もちろんとってもかしこくできてます。
だからって、
増税を歓迎しているわけではないんですけどねヾ(☆o☆):